境界が不明である共有地は分割請求できるか

  土地を共有で複数人と所有している場合、共有のまま所有しているのもかまわないですが、法律上は共有のままでいなければならないわけではありません。共有者の間で話し合いで分割することもできますし、話し合いで決着がつかなくても、民法258条は、共有物の分割請求をすることを認めています。しかし、共有地が周辺の土地と境界がはっきりしないような場合、分割の対象が不明確ですので、共有物の分割ができるかという問題があります。

 なお、土地の境界線の紛争に関して、当事務所が活動した場合の弁護士費用は土地の境界線の争いに関する弁護士費用(境界確定)のページをご覧ください。

1 共有物分割訴訟

  数人で共有している土地について、分割を求める共有者が、他の共有者を被告として行う裁判手続きです。

2 共有地の境界が不明である場合に共有物分割訴訟をすることができるか

  境界が不明である共有地の分割訴訟の可否が問題となった事案では、東京地裁昭和62年5月29日判決(判タ657号102頁)があります。この事案では、訴えの利益が欠けることを理由として却下判決がなされました。

(1)東京地裁昭和62年5月29日判決の理由

    「その確定に長期の日時を要することが認められるので、現時点での現物分割は不可能であることが明らかであるから、」としています。

(2)訴えの利益

    訴えの利益とは、裁判所を利用して紛争を解決するに値するだけの利益・必要性のことです。裁判所が請求棄却や請求認容といった判決をすることができないような事案では、裁判所を利用するのは無駄になりますから、それらの判決を求める前提としての要件の一つとして訴えの利益があります。訴えの利益がない場合、却下判決となり、何ら紛争の内容を判断してもらえません。

3 対処方法

  まずは、境界を確定するしかありません。筆界特定制度や境界確定の訴えを利用して境界を確定させた後、共有物分割訴訟を行うべきです。但し、かなり金額が下がるおそれはありますが、換価分割により共有地を売却して分割する方法はあります。(弁護士中村友彦)