どのような場合に解雇できるのか?

 解雇とは、使用者の一方的意思表示により、労働契約を終了させることです。民法627条1項では、「当事者が、雇用の期間を定めなかったときは、各当事者において、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と定められています。

 しかし、解雇権濫用法理が判例法上確立され、且つ、労働契約法において明文化されており、会社による解雇は著しく困難となっています。

 解雇は、労働者の地位を完全に奪うものですから、最も争いが生じやすい分野の一つです。

解雇権濫用法理

判例及び労働契約法

 客観的に合理的な理由のない解雇や社会通念上相当でない解雇は無効とする「解雇権濫用法理」が判例法として確立されました(最二小判昭和50年4月25日・民集29巻4号456頁、最二小判昭和52年1月31日・最高裁判所裁判集民事120号23頁)。

 そして、これらの判例法理は、労働契約法16条にて「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用しものとして、無効とする。」と明文化されています。

解雇権濫用法理の検討事項

「客観的合理性」、「社会的相当性」の判断については次のような要素が考慮されます。

① 労働者の服務規律違反や能力不足の内容、程度、改善可能性

② 使用者が期待可能な解雇回避措置をとっているか

③ 解雇の動機・目的

④ 適正手続その他

手続的規制

 解雇するためには次のような手続を行うことが必要です。

① 解雇予告・解雇予告の手当支払い(労働基準法20条)

② 解雇理由証明書の交付(労働基準法22条)

実体的な規制

 解雇には次のような規制があります。

⑴ 労働契約上の規制

 常時10人以上の労働者を雇用する場合は就業規則を定め、労働基準監督署に届け出なければならず(労働基準法89条)、就業規則には解雇事由が絶対的記載事項となっています(同条3号)。また、労働契約締結時に作成される書面にも明示を要します(労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条1項4号)。したがって、これらによる制約があります。

⑵ 法律による解雇制限

① 業務災害による療養中・産前産後の休業中の解雇は禁止されています(労働基準法19条1項)。ただし、打切補償による解雇制限の解除の制度があります(同項ただし書)。

② その他、労働組合法7条、公益通報者保護法3条、5条、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律10条、16条、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律9条などによる規制があります。

 

 雇用・労働の問題につきましては法律情報navi» 雇用・労働もあわせてご覧ください。

(弁護士 井上元)

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