農地法の概要
Q 農地法の概要を教えてください。 |
A 農地法は、民法の特別法であり、民法の「所有権絶対の原則」「契約自由の原則」の例外として、国家が農業政策的目的で民事に介入するものです。
農地法は昭和27年に制定され、自作農主義を理念としていました。その後の経済社会の発展の中で改正が繰り返されてきましたが、中心となる規定は、耕作目的の農地の権利移動の制限(3条)、農地の転用の規制(4条、5条)、農地賃貸借の規制(16条~21条)であることに変わりはありません。
農地に関する紛争については農地法が適用されますので、特に注意が必要です。
すなわち、借地借家法においては民法の原則が大幅に修正されているのと同様に、農地においては農地法により民法の原則が大幅に修正されているのです。例えば、農地法では、①農地のままでの売買、②転用目的での売買、④賃貸借の解除・解約などには原則として農業委員会や知事の許可を要し、許可がないと効力が生じないとされているのです。
農地法の概要
目的
▷農地について、権利移動や転用の規制、利用関係の調整等の措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資する。
農地の所有者等の責務(農地法2条の2)
▷農地について権利を有する者には、その農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保する義務があることを明確化
農地としての利用
権利移動の制限(転用目的を除く)
▷農地等の権利移動を許可制とし、効率利用しない者や不耕作者による権利取得を排除(3条)
- 農地所有適格法人制度(農地法2条3項、3条2項)
- 農地の買収(7条)
利用関係の調整等
- 賃借権の保護(6条~21条)
- 和解の仲介(25条)
遊休農地に関する措置(30条~42条)
農地以外の利用
転用規制
- 農地転用の制限(4条)
- 転用のための権利移動の制限(5条)
違反者に対する処分(51条)
- 違反転用者に対し、原状回復等の措置の命令
その他
- 農地台帳の作成(52条の2)
- 農地情報・地図の公表(52条の3)
罰則
- 無許可で農地を売買・転用等
- 原状回復命令に違反
(令和7年6月 農林水産省経営局「農地をめぐる状況について」参照)
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