農地とは?

Q 農地とは、どのような土地のことを言うのですか?また、何故、農地か否かが問題となるのですか?

A 農地とは、耕作(土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培すること)の目的に供される土地のことを言います。農地であることによりいろいろな制限を受けることになるため、農地か否かが問題とされます。


農地の定義

 農地法における「農地」とは「耕作の目的に供される土地」のことをいいます(農地法2条1項)。

客観主義

 農地かどうかは、所有者や使用者の主観的意思によってではなく、その土地の客観的な状況によって判断されます(最判昭和39・5・26集民73号677頁)。

現況主義

 農地かどうかは、登記上の地目や小作台帳にかかわりなく現況によって判断されます。登記上の地目が宅地などであっても、現に耕作の目的に供されていれば農地であり、登記上の地目が田や畑であったり、農地台帳に田や畑として登録されていたとしても、現に耕作の目的に供されていなければ農地ではありません。

農地であることの効果

適正・効率的な利用の確保

 農地について所有権又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する者は、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければなりません(農地法2条の2)。

権利移動・設定についての制限

 農地法3条~5条等の規制を受けることになります。

原状回復命令

 農地法4条もしくは5条に違反して転用した場合、原状回復を命じられることがあります(農地法51条)。

刑事罰

 農地法64条~69条で刑事罰が定められています。

農地の判定基準

耕作・肥培管理

 「農地」とは耕作の目的に供される土地であるところ、「耕作」とは、土地に労働力及び資本を投じ、肥培管理を行って作物を栽培することをいいます。「肥培管理」とは、作物の生育を助けるための農作業一般をいい、肥培といっても必ずしも施肥が要件になっているわけではありません。

 果樹園、桑畑、苗木を作る苗圃、桐苗・桐樹の栽培、多少の肥料を施して筍を採取しているような土地、主として野菜、菜種などを栽培し、副次的に桐苗の育成、桐木の栽植している土地、果樹園は農地とされています。

 問題となるのは、果樹園・茶畑・桑畑等と林業(造林)との区別です。果樹園などは果樹そのものを収穫の目的とするのではなく、植物の果実・葉・茎等を毎年採取することを目的としており、そのためには植栽の全期間にわたって継続的に肥培管理を行う必要があります。これに対し、林業(造林)は、長期間にわたり自然の力によって生育した竹木そのものを収穫することを目的とし、肥培管理も材木育成の全過程からみれば、初期の段階において例外的に行われるに過ぎません。もっとも、苗木を作る苗圃や販売用の植木の苗木を栽培している土地は農地です。

土地や耕作等の状況

 当該土地が農地であるか否かの判断において、土地や耕作等の状況など総合的に判断されます。

休耕地・不耕作地

 「耕作の目的に供される土地」には、現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような、客観的にみてその現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地も含まれます。

無権利者による不法耕作地

 多くの裁判例では不法に耕作して農地とした者は、農地であることを理由に許可なくしてなされた所有者と他人間の売買等の無効を主張することはできないとされています。

換地・仮換地

 土地区画整理事業により、従前の土地(従前地)に代えて工事の後の新たな区画の土地が指定され(換地処分)、地権者の権利が移行します(換地)。換地処分が行われた土地は、社会的にみて宅地として利用することが相当とみられる場合も少なくありませんが、換地処分が行われた土地であっても、工事の程度いかんによってはなお農地といわざるをえない場合もあります。

 区画整理事業には長期間要しますので、従前地が使用できない間、代わりに一時的に使用・収益できる土地として仮換地の指定がされます。一般的に、将来、そのまま換地となる予定の土地が仮換地として指定されますが、必ずしも、同一とは限りません。仮換地の場合、従前地は使用できなくなりますが、所有権は従前地に残っていますので、従前地を売却することもできます。この場合、売買等の対象は従前地となりますので、農地か否かの判断は従前地の現況によることになります。

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(弁護士 井上元)

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