市街化農地の売買

Q 市街化区域内における農地の転用目的での売買等にはどうような規制があるのですか?

A 市街化区域内における農地を転用目的で売買等する場合は農地法5条1項の許可を受ける必要はありませんが、あらかじめ農業委員会に届出をする必要があります。


市街化区域・市街化調整区域とは?

都市計画区域

 都市計画法(昭和43年制定)に基づき、都道府県は、①市または一定の要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的および社会的条件並びに人口、土地利用、交通量等の現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域、②首都圏整備法、近畿圏整備法および中部圏開発整備法による都市計画区域その他新たに住居都市、工業都市等として開発し、及び保全する必要がある区域について都市計画区域を指定することができます(同法5条)。なお、都市計画区域外に拡大している都市的利用に対応し、用途の無秩序な混在や良好な環境の喪失を防ぐため、用途区域、風致地区等土地利用の整序のために必要な都市計画の範囲として準都市計画区域が指定されます。

市街化区域・市街化調整区域

 そして、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定めることができます(同法7条1項)。

 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域(同条2項)、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域(同条3項)とされています。都市計画区域であっても、無秩序な都市化が推進されるべきではなく、都市化が推進されるべき区域と市街化を抑制して緑地等を保全するなど、各区域をバランスよく配置する必要があるからです。

 ちなみに、指定都市等では「区域区分」を必ず定めなければなりませんが、指定都市等以外ではこれを定めることは必須ではありませんので、都市計画区域内においても「区域区分が定められていない都市計画区域」(非線引き白地地域)が存することもあります。

市街化区域内にある農地を転用する場合の届出

 上記のとおり都市計画法7条では、都市計画区域を2分して、市街化区域と市街化調整区域との区分を定めることができるとされており、市外化区域内における農地転用については、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、法4条1項もしくは法5条1項の許可を受ける必要はありません。

 市街化区域内の農地転用(農地法4条)もしくは市街化区域内の農地転用目的での譲渡等(同法5条)は、適法な届出が行われてはじめて法4条もしくは法5の許可を受ける必要がないことになりますので、適法な届出が行われていないときには、これらの許可を受けないで行った農地の転用等となり、法4条もしくは法5条の規定に違反することになり、法64条、67条の罰則の適用及び法51条の違反転用に対する処分の規定の適用があります。

売主が届出に協力しない場合

 当該農地が市街化区域内に存する場合、売主と買主は、あらかじめ、農業委員会に対し、連名で、農地転用届出書を提出しなければなりません(法5条1項ただし書6号)。

 もし、売主がこの届出に協力しなければ、買主は、売主に対し、届出の履行を求める訴訟を提起することになります。

 売買契約時においては農地であったところ、その後、市街化区域内に含まれるに至った場合、求める手続は許可申請ではなく届出となります。

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(弁護士 井上元)

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