債権回収~取引開始にあたって注意すべきこと

Q 新規の取引先と取引を開始するにあたって注意すべきことを教えてください。

A 相手方の信用調査、資産の把握、基本契約書の作成等が重要です。


 「取引先が支払を止めてしまった」、「取引先が倒産しそうだ」といってご相談にこられる会社の方がいらっしゃいますが、このような緊急事態となった後の回収可能性は、当然、低くなりがちです。

 債権を確実に回収するためには、まず、取引開始時において十分な注意が必要なのです。

1 相手方の調査

 相手方は会社なのか個人なのか確認する必要があります。会社の名刺をもらっても、実際は会社を設立していない可能性もありますので、商業登記を確認してください。最近はインターネットで取得することもできます。

2 相手方の信用調査

 信用調査を行えば、相手の会社の経歴、社長の経歴、決算状況などを知ることができます。赤字が続いているのなら注意が必要です。

3 相手方の資産の把握

 相手方会社の資産は何があるのか、万一のときに備えて事前に調査しておくべきです。少なくとも、会社所在地の不動産や社長の自宅の不動産については調査しておいた方がよいでしょう。インターネットで取得することもできます。

4 基本契約書の作成

 取引を継続して行うのなら、基本契約書を作成してください。代金の締日、支払日、支払方法はもとより、万一のときに備えて、期限の利益喪失条項、即時解除、相殺予約条項などを盛り込んでおくべきでしょう。

5 個別の取引の際の書面作成

 基本契約に基づく個別の取引を行う場合、いちいち契約書を作成することは煩雑ですが、電話や口頭での取引は危険です。FAXやメールでも構いませんので記録を残しておくべきです。

(弁護士 井上元)

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