少額訴訟

少額訴訟とは、民事訴訟の一つで、請求額が60万円以下の金銭に関する争いについて、簡易迅速に解決するための手続きです。原則として、1回の審理で終わる手続きで、少額の貸金の回収、交通事故の物損事故に関する損害賠償請求など用いられます。回数制限があり、年10回までしか利用できません。

簡易裁判所に対して訴状を提出して申立て、1回の審理で直ちに判決が出ますので、証拠もすべてそろっており、大した争点もないような事件が対象になります。判決に対して不服があれば、異議申立はできますが、判決を行った同じ簡易裁判所で審理されます。少額訴訟では、特別上告はできますが、控訴はできません。 

交通事故の過失割合や、消費貸借契約の有無のような重大な争点があるようなケースでは、少額訴訟は1回の審理で行うことから適しておらず、訴えられた被告は、通常訴訟へ移行するように裁判所に申立てることができます。 

なお、少額訴訟の判決も、強制執行することは可能ですから、請求額がたいしたことがないからといって訴状が届いているにもかかわらず放置することは絶対にやめるべきです。交通事故で過失割合に争いがあるケースなどで、物的損害に関する少額訴訟を放置して原告側の言い分がすべて認容された場合、後日の交通事故の人損の損害賠償で不利になってしまいます。訴訟は、弁護士が専門とするところですから、弁護士に相談をすることをお奨めします。 (弁護士中村友彦) 

 手続

           簡易裁判所へ訴状の提出

               ↓

           第1回期日 証拠調べ等

               ↓

              判決