休眠会社のみなし解散、登記・役員選任懈怠にご注意ください!

事業を継続しているにもかかわらず、必要な登記を懈怠していると、休眠会社として、みなし解散の制度により整理されてしまいます。

また、登記や役員選任の選任懈怠がありますと、裁判所により過料の制裁が科される危険があります。

十二分にご注意ください。

休眠会社・みなし解散

全国の法務局では、平成26年度以降、毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行っています。

休眠会社とは、最後の登記から12年を経過している株式会社(特例有限会社は含まれません)、休眠一般法人とは、最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人です。

休眠会社又は休眠一般法人について、法務大臣による公告及び登記所からの通知がされ、この公告から2か月以内に役員変更等の登記又は事業を廃止していない旨の届出をしない場合には、みなし解散の登記がされます。

法務大臣による公告と登記所からの通知について

毎年1回、法務大臣による官報公告(休眠会社又は休眠一般法人は、2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、登記もされないときは、解散したものとみなされる旨の公告)が行われます。

また、対象となる休眠会社・休眠一般法人に対しては、管轄の登記所から、法務大臣による公告が行われた旨の通知が発送されます。

「まだ事業を廃止していない」旨の届出について

まだ事業を廃止していない休眠会社又は休眠一般法人は、公告から2ヶ月以内に役員変更等の登記をしない場合には、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。

みなし解散の登記について

公告から2ヶ月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、役員変更等の登記も申請されなかった休眠会社又は休眠一般法人については、その2ヶ月の期間の満了の時に解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。

過料について

登記や役員選任を懈怠した場合には過料の制裁を科されることになっていますのでご注意ください。

OBAMJ「大阪地方裁判所第4民事部(商事部)との懇談会報告」2019年4月号40頁によると、過料について次のような報告がなされています。

1 過料事件の処理件数・処理内容の内訳等

平成29年受付分においては、会社法違反が合計2952件、その処理内容の内訳は、登記懈怠(会社法976条1号)で処罰されたものが773件、選任懈怠(同条22号)が1003件、不処罰となったものが1176件である。

登記懈怠、選任懈怠以外の商事過料事件はなかった。会社法以外であれば、NPO法人や宗教法人に対する事業報告書等の提出懈怠事件があり、それらは平成29年受付分では131件であった。

過料の金額の分布状況は、処罰事件のうち5万円以下が55%程度、5~10万円が約27%、10万円以上が約20%である。

2 不処罰となる事例・異議申立てが認められる事例

法務局からの通知はあっても、懈怠した期間が短いものや、既に処罰されている登記懈怠や選任懈怠の関係で重ねて通知がなされた際には、二重処罰を避ける趣旨で不処罰の判断をすることがある。

異議申立てが認められる事例としては、例えば、過料の相手方(新任役員等)の個別意見を聞かずに形式的に裁判を行ったところ、異議申立てに伴って、実は定款を変更していて役員の任期を2年から10年にしているという理由が認められる場合に、原裁判を取り消し不処罰とすることがある。

3 法務局からの過料事件の通知

登記懈怠・選任懈怠を含め、法務局ごとにばらつきがあるものの、各法務局においては、概ね違反の対象となる登記の申請年月日から1~3か月以内に裁判所に過料事件の通知を送付してくることが多い。

関連法令

会社法

休眠会社のみなし解散

第472条

1項 休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し2箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。

2項 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。

過料に処すべき行為

976条 発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第156条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第960条第1項第5号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第2項第3号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第967条第1項第3号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、100万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

1号 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。

22号 取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任(一時会計監査人の職務を行うべき者の選任を含む。)の手続をすることを怠ったとき。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

休眠一般社団法人のみなし解散

第149条 休眠一般社団法人(一般社団法人であって、当該一般社団法人に関する登記が1項 最後にあった日から5年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠一般社団法人に対し2箇月以内に法務省令で定めるところによりその主たる事務所の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その二箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠一般社団法人に関する登記がされたときは、この限りでない。

2項 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠一般社団法人に対し、その旨の通知を発しなければならない。

休眠一般財団法人のみなし解散

第203条

1項 休眠一般財団法人(一般財団法人であって、当該一般財団法人に関する登記が最後にあった日から5年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠一般財団法人に対し2箇月以内に法務省令で定めるところによりその主たる事務所の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠一般財団法人に関する登記がされたときは、この限りでない。

2項 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠一般財団法人に対し、その旨の通知を発しなければならない。

過料に処すべき行為

第342条 設立時社員、設立者、設立時理事、設立時監事、設立時評議員、理事、監事、評議員、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された理事、監事、評議員若しくは清算人の職務を代行する者、第334条第1項第6号に規定する一時理事、監事、代表理事若しくは評議員の職務を行うべき者、同条第2項第3号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第337条第1項第2号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者又は検査役は、次のいずれかに該当する場合には、100万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

1号 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。

13号 理事、監事、評議員又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任(一時会計監査人の職務を行うべき者の選任を含む。)の手続をすることを怠ったとき。

(弁護士 井上元)